ぼくとのメールのやりとりの中で、カナダの生物学者デヴィッド・スズキが、最近、「自然エネルギー財団」の依頼で書いた文章を送ってくれた。そのホームページにはもう日本語に訳されて出ていたので、紹介したい。題して、「コロナ禍に際しての一考察」
ぼくはこれまでに二冊、彼の本を和訳しているが、どちらも本人に断った上、思い切った意訳をさせてもらった。今回も自分で訳してみたい気持ちはあるが、今、ちょっとそこまで手が回らないので、せめて、末尾の一節だけ、本人の気持ちになったつもりで、訳してみた。
ちなみに、ぼくはつい3月10日前後までデヴィッドにヴァンクーヴァーで度々会って、二度にわたるインタビュ(一度は録音、一度は録画)も行なった。それも書き起こしたり、字幕をつけたりして、いずれ、広く紹介したいと思っている。
辻信一
Let us focus on restoring a caring supportive society, on greater self-sufficiency, on a rich network of family, friends and community, on nature as the source of all we need to be happy and healthy – clean air, water, soil and food, energy and biodiversity. The new opportunities post-Covid-19, lie in restoring and rewilding the planet and moving away from this economically-driven orgy of consumption to enriching relationships.
さあ、何より大切なことのために努力を傾注しようではないか。互いに思いやり、支え合う社会を取り戻すために。経済的な自給と自立の割合を高めるために。家族、友人、コミュニティーの豊かなネットワークを築くために。そして、きれいな空気、水、土、食料、エネルギー、生物多様性など、健康で幸せな暮らしに必要なものをすべて与えてくれる自然を大切にすることだ。コロナ後の世界に向かって、地球環境を回復し、野生を再生し、経済優先の消費社会から豊かな関係性に基づく社会へと転換していく、今こそが、そのためのまたとない好機だ。
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