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Blog:大地X暮らし研究所

執筆者の写真聡将 玉城

リジェネラティブ・大地再生ってなんだろう?

近年、農業のみならずいろいろな分野で「リジェネラティブ(Regenerative)」という言葉を耳にする機会が増えてきた気がします。

なかなか耳馴染みのない言葉なので、イメージしづらい面がありますが、日本では「再生」と訳されることが多いこの言葉を、大地×暮らし研究所では「大地再生」とあえて呼んでいます。

ともするとバイオテクノロジーなどと結びつきやすい「再生」の主語を「大地」にすることで、近代以降の人間中心主義的な世界観から、自然界という最も古くから存在するコミュニティに、生きものの一員として、私たちニンゲンも参加しているのだという自覚を持つべくして、そのように呼んでいるのです。





「大地再生」と聞いて、映画「杜人」https://lingkaranfilms.com/

環境再生医、矢野智徳さんの活動「大地の再生」https://daichisaisei.net/

を思い浮かべる方もいると思います。

矢野さんはこのところ毎年、「大地×暮らし研究所」メンバーであるメノビレッジ長沼をフィールドとして「大地の再生講座」を実施しています。

(今年の秋もメノビレッジで開催予定です。https://daichisaisei.net/news/002962.html

)

毎回「自然界の視点」を持つことをで、実際にそのコミュニティの一員として環境をケアしていくなかで起こる変化を、五感を通じて感じることの大切さ、気持ちのよさを体感しながら、自然との対話を深めていきます。

「リジェネラティブ・大地再生」には矢野さんの続けてこられた「大地の再生」活動へのリスペクトも込められているのです。



さて、そもそも日本にリジェネラティブという概念が入ってきたきっかけは、おそらくデイビッド・モントゴメリー著「土・牛・微生物」なのではないでしょうか?



農耕文明と土との関わりを研究し続けている作者の「土の文明史」「土と内臓」に続く本作で、耕すことと気候変動との関係性に言及し、「耕さない農業・不耕起栽培」を主にアメリカやアフリカといった乾燥地域での実際の取り組みを紹介しながら、耕さないことでおきるさまざまなポジティブな変化をとらえます。

またそれだけでなく、中米やアジアなど世界中の伝統的な農業に秘められた持続性をもたらすエッセンスを紹介することで、農業の本来あるべき姿を徐々に浮き彫りにしていきます。

それは、自然のもつ自己再生能力を越えて資源を採取し、かつての相互扶助的な社会を分断し、競争させることで生産力を過剰なまでに高めようとする収奪的なグローバル資本主義への、土からの革命(「土・牛・微生物」の原題は“Growing a Revolution")を予期させる魅力的な内容です。

前作「土と内臓」で培われたヒトと微生物、植物と微生物の見えない共生関係という視点を突破口に、「弱肉強食」「適者生存」といった凝り固まった自然観を塗り替え、「共存共生」「相互扶助」という自然界の隠されたあり方から次なる世界を描き出すヒントとして、「リジェネラティブ農業」を描き出す。


この新たな流れに、私たちの足もとからできることとして、リジェネラティブな暮らしに参加してみませんか?


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